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 右京は迫りくる死期と闘いながら帰路へと急ぐ。
 「あと少し、もってくれ。」  
  今度こそ「華」を・・・・小田桐圭の面影と、あの娘の顔が交差する。
 「ぐはッ」吐血し倒れる。
  意識が遠ざかる中、右京はその娘の名を叫んでいた。
 「お咲!!」
  そして・・・・・・
  煎じた「華」を飲み、意識を取り戻した娘に覇王丸は話しかけた。
 「大丈夫かい、お咲さん。」
 「・・・・・・あなたが薬を?」
 「救ったのは俺じゃねぇ。これは、その男から預かったものだ。」
  覇王丸は懐から血に染まった風車を取り出し娘に手渡す。
  それは右京が命に代えた「華」のようでもあった。 
  春風に回る風車。   |