轟、と地面に立つ火柱。業火の中から現れた影は火月である。
火影に染まった形相の前で、拳を固く握りしめていた。
眼前では、泣きながら妹・葉月が駆け寄ってくる。
人形師は闇に帰し、葉月は救われた。
炎邪に魂を食われる覚悟は出来ている。
火月が目を閉じた瞬間、炎邪の声が火月の耳に響いてきた。
「真の強者よ・・・我、汝の力に屈したり・・・・我、ぬしの一部となら
ん。」
火月が我に返るのと、声が消えたのは同時だった。
己の中の邪をねじ伏せた火月に恐れるものはなく、拳には新たな力が満
ちてくる。
「行くぜ、葉月!」
火月は守るべき妹の手を取った。
火柱が爆ぜた時、兄妹の姿はもうなかった。
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